知らないと損をするパートタイマー収入の「3つの壁」
パートタイマー収入の「3つの壁」として100万円、103万円、130万円を提示しているサイトをしばしば見かけます。交通費などを除いた前年の収入がこれらの壁を少しだけ超えると、超過分以上の税金や社会保険料を課されて損をしてしまうことがあるというものですが、主要都市圏以外に住む人にとっては、正しい数字ではありません。
最初の壁である「100万円」は、住民税の非課税限度額を元に算出された数字ですが、この額はパートタイマーの住民税非課税額ランキングのとおり市区町村により異なっているからです。
例として、あなたがパートタイマーで、F1開催で有名な鈴鹿サーキットがある鈴鹿市(三重県)在住で、旦那様(もしくは奥様)の扶養対象者になっている場合を考えてみましょう。
パートタイマーの給料はふつう給与所得なので、住民税の非課税限度額に加えて、給与所得控除(最低65万円)も考慮する必要があります。鈴鹿市の住民税の非課税限度額は28万円ですから、28万+65万=93万円までがパート収入の非課税限度額となります。前年中の収入が93万円を1円でも超えると、住民税の均等割(市区町村民税+都道府県民税)が課税されます。
つまり、鈴鹿市在住の奥様(もしくは旦那様)にとっては、93万円、103万円、130万円がパート収入の「3つの壁」なのです。
同じ三重県でも津市は96万5千円(31万5千円+65万円)となっているなど、三重県のパートタイマーの住民税非課税額ランキングのとおり、住民税が非課税となる収入の最高額(非課税限度額)は市町村ごとに異なっています。最初の壁が100万円(35万円+65万円)となっている市区町村は、千代田区(東京都)など、主要都市圏に限られています。
なお、上記の計算は2012年4月の税制に基づきます。改正や減税特例などにより、変動している場合があります。あなた個人の非課税額については、必ず役所・役場などにお尋ねください。ホームページで分かりやすく説明している自治体もあります。
ちなみに、残る2つの壁の1つ「103万円」は、給与所得控除(最低65万円)に、所得税の基礎控除額(38万円)や配偶者控除(38万円)などを加えた金額(65万+38万=103万円)です。最後の「130万円」は、社会保険(年金や健康保険)において被扶養者であるために必要な収入上限で、130万円以上の収入があると扶養から外れ、社会保険料を支払わねばなりません。これは一般的な説明であり、減免規定などもありますので、必ず役所・役場などに確認してください。
パート収入の「3つの壁」の1つめ(住民税の均等割)は、他の2つに比べて支払う額(税額)が数千円程度だから大したことはない、と言うファイナンシャルプランナーがいますが、一般的なパートタイマーの時給から考えると、数時間の労働を市区町村に奉仕することになるわけで、決して“大したことはない”とは言えないと思います。